Comorisは、都市に散在する空き地や遊休地などのスペースを小さな森に転換し、都市のグリーンインフラを増やそうとする試みです。通常であれば無味乾燥とした駐車場になってしまうような土地を、シェアサービスの仕組みを活用したアーバンフォレストとして運用できれば、不動産の必要コストを賄いながら周囲の環境的な価値を高めることができるのではないかと考えています。
里山や鎮守の森など、かつて森林や木々はもっと私たちの生活に身近なものでした。かつて、田園都市を提唱した都市計画家エベネザー・ハワードが、緑あふれる江戸を見て称賛したように元来日本人は身近な自然を大事にしてきました。木々が遠い存在になってしまった現代でも、私たちは週末になると自然との交流を求めて遠くの森や山に繰り出しています。
Comorisでは、キャンプ場でも別荘でもない「ご近所で森を育てる」という新しい自然体験を提供します。それは、本来自然が私たちの暮らしの一部であったこと、そして、私たち自身も自然の一部であることを思い出すきっかけとなり、都市の暮らしを、よりネイチャーポジティブなものに変えていくトリガーとなるでしょう。
Comorisは、アーバンフォレストによって、まちの生態系の健全性を取り戻し、都市空間における「30 by 30」に貢献することを目的としています。「30 by 30」とは、2021年にG7サミットで合意された2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全するという達成目標です。都市に関しても例外でははく、ロンドンやバルセロナ、ニューヨークやパリといった主要都市では、先んじて「30 by 30」に関する取り組みが推進され、その一環としてアーバンフォレストも注目されています。
グリーンインフラとして機能するアーバンフォレストは、都市に、ヒートアイランド現象や水害の軽減、大気汚染物質の除去、炭素の固定による気候変動緩和等の恩恵をもたらします。また、動植物の生息場所となって生物多様性を支えるほか、人間にとっても憩いの場となり、地域のバイオダイバーシティ、環境危機・災害へのレジリエンス、コミュニティのウェルビーイング向上という総合的な価値創造へつながります。
Comorisを立ち上げることで、都市空間における「30 by 30」に貢献する。それは小さすぎる一歩にすぎないという見方もあるかもしれません。しかし、日常の意識や行動変容は、環境危機に対するもっとも有効なアプローチだとも言われています。近所の小さな森という身近な自然体験だからこそ起こせる変化があるはずです。
「リビングラボ」とは、市民や企業、研究機関、行政といった多様なプレイヤーの共創を通じてイノベーションを創出するためのデザインアプローチです。実験室やスタジオ内ではなく、実生活の場において、社会課題の解決や未来創造のための活動を進めることが特徴です。近年、環境課題の文脈においてもリビングラボが注目を集め、ヨーロッパでは土壌改善をテーマにしたソイルヘルスリビングラボの設置が進められているほか、ニューヨークでも地盤沈下や水害といった気候危機に対処するためのリビングラボが開設されています。
Comorisは、シェアフォレストであると同時に、サステナビリティをテーマにした「グリーンリビングラボ」の機能も兼ね備えています。企業や研究者、シェアメンバーや地域の方々とともに実験的なデザインリサーチを進めることで、環境課題の解決やネイチャーポジティブなビジネスを推進するための新たなアイデアやソリューションを開発していく予定です。
note「都市で森を育てる仲間募集|Comoris代々木上原」
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